Introduction(2/2)

  ――魔力石事変から半年。
  魔力石の残滓による魔獣退治に奔走するらせつは、戦いのさなかに声を聞いた。

  『――――――』
  (……泣き、声? 誰かが、泣いてる……)
  (聞き覚えのある……とても辛くて、とても痛そうな声……)
  (何が、苦しいの…? 何が、悲しいの…?あなたは、あなたは――)

  「あなたは……誰?」

  「これは、魔力石の共鳴!?強制召喚っ!?ダメッ!らせつちゃん!!」

  セッカの叫びと共に反転する景色と、喪失する意識。
  一瞬とも永劫とも感じられる時間を経て、目醒めたらせつとセッカが目にしたのは、
  魔力石の力によって崩壊に瀕した世界。
  そして――
  7つの奇跡を取り込み、全てを滅ぼす神となった、
  もう一人の「ラクシャルらせつ」だった。

  結末の裏側。
  虚数に潜む可能性。
  あり得たかもしれない未来。
  絶望の“IF”が異世界の魔法少女たちを巻き込み、
  もう一つの魔力石事変が、幕を開ける――

  「――あの子、泣いてたの。たぶん、あの私は……ううん。
   あの私も絶対、みんなを守りたいって願ってた。だから魔法少女になったの」

  「みんなを守ろうとしたその手は、届かなかったかもしれない……
   ……でも、まだ間に合うなら。届かなかった手を掴めるなら。
   あの悲しみを、無くせるなら…っ!!」

  「セッカ!ラクシャルワンド!お願い、力を貸して!!
   マジカル・メタモル…!ラクシャーサッ!!」